仕事でAIを使うとは、実際に何をすることですか?
一般的な事務系の職種では、仕事でAIを使うとは、主に三つの支援を受けることです。提供した資料から下書きを作ること、資料を別の形式に変換すること、選択肢や問い、抜けている点を示す思考の相手にすることです。ツールに意思決定を任せたり、確認せずに最終成果物を作らせたりすることは、ほとんどありません。
下書きの作成には、メール、要約、求人広告、規定の説明、報告書の初稿などが含まれます。形式変換には、長い文書を短くすること、メモを整理された記録にすること、1つのメッセージを読み手別に書き分けること、表をわかりやすい解説文にすることなどが含まれます。考えを整理する相手としては、「慎重な買い手なら、この点について何を質問するでしょうか?」や「この計画には何が足りませんか?」といった問いを投げかけます。
3つのいずれでも、結果の質を大きく左右するのは、どのツールを使うかより、ツールに何を渡し、返ってきた内容をどう確認するかです。そのため、以下の職種別ガイドでは、同じ習慣をそれぞれの業務とリスクに合わせて取り上げています。
AIを使う最初のタスクは、どのように選べばよいですか?
頻繁に行っていて、すでに十分なスキルがあり、結果をすぐに確認できる業務を選びます。AIが自信ありげに示す誤りに気づけるのは、自分にその業務のスキルがあるからです。そのため、不慣れな業務は最初の練習には向きません。以下の基準を使えば、ほとんどの人は候補を2つか3つに絞れます。
繰り返し発生します
毎週またはそれ以上の頻度で行うため、改善の効果が繰り返し得られ、ツールを評価するのに十分な実践を積めます。
品質を判断できる
誰かに教えてもらわなくても、よい仕上がりがどのようなものかわかります。
元資料を入手でき、共有もできる
課題に必要な資料が存在し、承認済みツールでの利用が会社の方針で許可されています。
間違えても修正できます
社内用の下書き、または自分で編集するための初稿です。取締役会向け資料に載せる数値や、規制当局に送る文書ではありません。
終わりが明確です
出力が使える状態かを判断できるため、自分で作業した場合と簡単に比較できます。
業務用の良いプロンプトには、何を含めるべきですか?
適切な業務用プロンプトには、有能な新しい同僚が追加の確認をせずに仕事を進めるために必要な情報を含めます。目的、読み手、参照資料、制約、形式、注意を促すべき点です。情報の不足は、AIの出力がありきたりになったり、詳細を捏造したりする主な原因です。
同じ課題に対する2つのプロンプトを比較します。弱い例は「オフィス移転についてチーム向けのお知らせを書いてください。」です。より良い例は「オフィス移転について、25人の従業員向けに150語のお知らせを書いてください。以下の事実だけを使ってください:移転日は11月14日金曜日、新住所はメモに記載、木曜日の4pmまでに机を片付ける必要があり、IT担当がモニターとドックを移動します。わかりやすく親しみやすい文体にしてください。最後に問い合わせ先を示してください。メモにない日付、ルール、安心させるための説明は追加しないでください。従業員から質問されそうな点のうち、メモでは答えがわからないものを列挙してください。」です。
最後の指示は、どの場面でも取り入れる価値があります。回答できなかったことを列挙するようツールに求めると、推測で埋められてしまう情報の不足を、自分で解決できる問いに変えられます。末尾にリンクした指示の書き方ガイドでは、構成とひな型をさらに詳しく説明しています。
AIの出力は使う前にどのように確認すればよいですか?
出力は、正しそうに聞こえるかどうかではなく、参照元と照合して確認してください。流暢な文章は信用しやすいものです。NISTの生成AIプロファイルは、ハルシネーションを、誤った内容や虚偽の内容を確信に満ちた表現で生成することと説明し、人とAIシステムの協働におけるリスクとして、過度の依存や自動化バイアスを挙げています。どちらも、感覚に頼らず意識的に確認すべき理由です。
大半の業務は、短い確認手順で対応できます。まず、事実に関するすべての記述、名前、日付、数値を、提供した情報源までたどって確認し、裏付けが取れないものは削除するか確認します。次に、数値を別途計算し直します。続いて、追加された内容を探します。この種の文書では自然に見えても、自分たちには当てはまらない主張、約束、原因、規則などです。その後、想定する読み手の立場で読み、文体や調子を調整します。最後に、最終版に誰が責任を持つかを決めます。通常、その責任を持つのは自分自身です。
確認の詳しさは、誤りがもたらす影響に合わせる必要があります。自分用のメモの下書きより顧客へのメッセージのほうが入念な確認を要し、報告に使う数値にはさらに厳密な確認が必要です。
職種別におすすめのAI活用方法は何ですか?
下の表では、各職種に適した最初の課題、最も重要な確認事項、人が担当すべき作業を示しています。各職種には、具体的な実例を含む専用ガイドがあります。
| 職種 | 最初に取り組むのに適した課題 | 最も重要な確認 | 人に任せる |
|---|---|---|---|
| マーケティング | 承認済みコンテンツのチャネル別展開 | すべての主張と数値の根拠を依頼内容で確認できる | ポジショニングと訴求内容の最終承認 |
| 営業 | 通話メモをもとにしたフォローアップメール | 成果や導入事例を捏造しません | 価格、利用条件、契約上の約束 |
| 人事 | 既存の社内規程を平易な言葉でまとめた要約 | 利用権限が方針と一字一句一致している | 個人に関する判断 |
| 採用 | 採用責任者のメモから求人広告を作成 | 要件との一致、誰も排除しない表現 | 応募者の選考・順位付け・不採用の判断 |
| 財務 | 確認済みの表に基づく差異コメント | 数値を再計算済み、未確認の原因は記載なし | 報告された数値と予測 |
| 会計 | 不足している記録の提出を依頼する顧客向けメール | 税務規則や期限の追加なし | 技術的な見解と承認 |
| 顧客対応 | ヘルプ記事と問い合わせ内容に基づく返信の下書き | 規程と返金条件が正確であること | 例外対応と不満を抱く顧客 |
| プロジェクト管理 | 作業メモから作る進捗報告 | 日付と担当者は実際の情報です | 計画の見直しとトレードオフ |
| プロダクトマネジメント | 顧客の意見をテーマ別に要約 | 各テーマの根拠となる実際のコメントを確認可能 | 優先順位の決定 |
| 業務運営 | 作業手順をもとにした業務手順書 | 手順が実際の仕事の進め方に合っています | 例外と承認 |
| 部下を持つ管理職 | チーム会議の議題と議事メモ | 発言や行動を誤って他人のものにしていません | フィードバックと業績評価 |
職種によって何が変わりますか?
職種が変わっても習慣は同じですが、リスクは変わります。その違いの大部分は、三つの問いで整理できます。出力が間違っていた場合に誰が影響を受けるか、業務でどのような情報を扱うか、そして出力に適用されるルールがすでにあるかです。
人事、採用、管理職など、人に関する意思決定を行う、またはそれに影響を与える職種には、最も厳しい確認が求められます。EU AI Actの附属書IIIでは、採用・選考や、昇進、雇用の終了、業務の割り当て、人事評価に関する意思決定に用いるAIシステムを、高リスクの用途に含めています。マーケティングや営業など、商品やサービスに関する訴求を公表する職種には、文章の作成方法にかかわらず、広告やダイレクトマーケティングに関する規則が適用されます。財務や経理など、数値を報告する職種には、専門職としての基準を守り、その数値を頼りにする人々に対して責任を果たすことが求められます。
サポートや顧客管理など、顧客と接する職種には別のリスクがあります。AIが下書きした返信で規定を誤って伝えると、会社が守らなければならない約束になりかねません。各職種のガイドでは、特に重要な確認事項とその理由を説明します。
職種とのつながりを確認してみませんか?
計画中のチーム向けトライアルを見る ↗同じ課題でも、3つの職種では取り組み方がどう異なりますか?
架空の資料を1つ例に考えます。診療所向けに予約管理ソフトウェアを販売する小規模企業、ファーンヒル・ソフトウェアの新機能に関するリリースノートです。そこには、診療所が予約のリマインダーをテキストメッセージで自動送信できること、プロフェッショナルプランに含まれること、12月1日に提供を開始すること、英語以外にはまだ対応していないことが記載されています。
マーケティング担当者が、既存顧客向けの新機能案内メールをAIに依頼します。下書きには、リマインダーによって「無断キャンセルが大幅に減少します」とあります。リリースノートには無断キャンセルに関するデータがないため、担当者はこの一文を削り、代わりに機能の内容を説明します。
営業担当者が、電話でリマインダー機能について質問した診療所へのフォローアップ文面をAIに依頼します。下書きには、その機能が「すべてのプランで利用可能」と書かれていますが、事実ではありません。営業担当者は対象をプロフェッショナルプランに訂正し、送信前に顧客の現在のプランを確認します。
問い合わせ対応の担当者が、リマインダーについてのヘルプセンターの回答をAIに下書きさせます。下書きには、顧客は「どの言語でも選べる」とありますが、メモには逆のことが書かれています。担当者はそこを修正し、言語に関する要望の連絡先を追記します。
同じ資料、同じツールでも、3種類の異なる誤りが生じます。それぞれが、その職種で起こりがちな誤りです。だからこそ、自分の業務に即した課題で実践するほうが、一般的な例よりも多くを学べます。
職場のAIツールに入力してはいけない情報は何ですか?
まず会社のAI利用方針に従ってください。方針がない場合は、公開済みでない情報を貼り付ける前に確認してください。一般的には、顧客、採用候補者、同僚の個人情報、顧客の機密資料、未公開の財務情報、契約や秘密保持契約の対象となる情報には、特に注意が必要です。
答えは、ツールとプランによっても異なります。個人アカウント、会社のワークスペース、別のアプリ内に組み込まれたAI機能では、保存、アクセス、コンテンツをモデルの改善に利用するかどうかについて、それぞれ異なる条件が適用される場合があります。特に小規模な組織では、名前を削除するだけで文書が匿名化されるわけではありません。AI利用方針ガイドでは、チームでこうした境界を定める方法を説明しています。
仕事でのAI活用が上達しているかどうかは、どうすればわかりますか?
出力量ではなく、修正内容を見ます。仕事でAIを使いこなせるようになると、プロンプトが改善するため下書きごとの書き直しが減り、捏造された内容に早く気づき、何をなぜ変更したかを説明できるようになります。AIを使わないほうがよい場面も、より早く判断できるようになります。
簡単な把握方法は、二、三週間にわたり、課題、プロンプト、修正した内容と理由を短く記録することです。毎回削除が必要な安心させる表現を付け足すツールや、初稿を安定して使える業務の種類など、傾向はすぐに見えてきます。こうした傾向は、自分たちの業務から得られるため、時間短縮についての一般的な主張よりも役立ちます。
チームで業務におけるAIの活用方法をどのように学ぶべきですか?
チームに共通の現実的な課題を出し、全員がAIを使って取り組んだ後、下書きではなく修正内容を比較してください。修正内容を比べると、誰が情報源を確認し、誰が事実に基づかない主張を見つけ、誰が自社らしい文体を保っているかがわかります。そうした習慣は、スライド資料で説明するよりも早く広まります。
練習には架空の資料か承認済みの低リスクな資料を使い、使用を認めるツールについて合意し、間違いを安心して報告できるようにしてください。EU AI Actの適用対象となる組織については、第4条で、AIシステムの提供者と導入者に対し、従業員の知識や利用状況を考慮してAIリテラシーを支援する措置を講じることが求められています。これは一般的な情報であり、法的助言ではありません。以下のリンク先にある従業員研修ガイドと30日間の導入計画では、より詳しいプログラムを紹介しています。
その業務にAIが適していないのは、どのような場合ですか?
結果を確認できない場合、判断が人の仕事、給与、採用選考に影響する場合、出力が報告する最終的な数値になる場合、発言に責任を持つ人との対話が必要な場合には、AIは不適切です。また、書く内容がすでに分かっている2行の返信など、直接作業したほうが早い場合にも向いていません。
情報源がない場合も注意が必要です。会社の規程、顧客との契約、現在の税制に何が書かれているかを汎用アシスタントに尋ねても、得られるのはもっともらしい回答であって、原文ではありません。そのような場合は、まず情報源を探してください。AIを使うとしても、それを読む補助にとどめてください。
Tosheo.aiが適しているのはどのような場面で、適していないのはどのような場面ですか?
Tosheo.aiは、約5〜200人のチーム向けのセルフサービス型AI研修として、開発に向けた準備を進めています。管理者が職種とチームの利用ツールを選び、各受講者は短いレベルチェックを受けた後、職種別の学習コースで10〜15分のレッスンに取り組む設計です。各レッスンの最後には、実際のAIツールを使った実践課題があり、明示された採点基準に沿って評価されます。管理者が確認できるのは、スキルの進歩と修了状況であり、チャットの生ログではない予定です。サービスはまだ開発前のため、これらはすべて計画している範囲の説明です。
すべての購入者に適しているわけではありません。導入時にシングルサインオン(SSO)、学習管理システム連携、エンタープライズ契約が必要な大規模組織向けには設計されておらず、これらはいずれもサービス開始時には提供されません。エンジニアリングの実践研修ではなく、レッスンは英語のみで提供する予定です。個人で学ぶ場合は、一般的な講座やこのサイトの無料ガイドのほうが適しているかもしれません。チーム向けの予定料金は料金ページに掲載しています。
出典と対象範囲
NIST、人工知能リスクマネジメントフレームワーク:生成 AI プロファイル(NIST AI 600-1)、July 2024 ↗