このガイドで扱う内容と、扱わない内容は何ですか?

このガイドは、自分の業務でAIを使う財務チームのメンバー向けです。報告書、解説、分析を作成するFP&Aアナリスト、財務ビジネスパートナー、管理会計担当者、財務管理者を対象としています。ChatGPT、Claude、Gemini、ExcelのCopilotなどのツールによる、下書き、説明、確認を扱います。

不正検知、信用スコアリング、アルゴリズム取引、ロボアドバイスなど、銀行・金融サービス業界におけるAIの話ではありません。それらはシステムとして構築・規制される製品であり、検討すべき論点が異なります。会計・記帳業務には専用のガイドがあり、以下にリンクを掲載しています。ここに記載する内容はいずれも、投資、税務、会計に関する助言ではありません。

財務チームでAIが最も役立つのは、どのような業務ですか?

AIが最も役立つのは、新しい数値を算出する業務よりも、手元にある数値を説明する業務です。文章化や構成は得意ですが、計算や、数値が変動した理由の把握は信頼できません。

解説文の下書き

確認済みの差異分析表をもとに経営層向けの解説の初稿を作成し、その後、確認できた原因を加えて修正・完成させます。

数式の支援

引き継いだ数式をわかりやすい英語で説明し、より整理された構造を提案するか検索式を作成したうえで、既知の値を使って検証することです。

文書の要約

長い契約書、賃貸借契約書、取締役会資料を、条項への参照を残したまま、モデルに関わる重要な条件に絞って要約すること。

レビュー時の確認事項

予測に懐疑的な最高財務責任者から想定される質問を洗い出し、回答を準備できるようにします。

財務部門以外の同僚への説明

損益計算書を読まない部門長に向けて、予算の説明を書き換えます。

AIが作成した差異分析コメントは、確認を経るとどのような内容になりますか?

マーロウ・アウトドアは、架空のキャンプ用品小売店です。10月の経営報告資料には、売上高が予算420(千単位)に対して実績388、マーケティング費用が予算60に対して実績71と記載されています。分析担当者はこの表をアシスタントに貼り付け、「10月の業績に関する解説」を求めました。

下書きには、売上が「季節的な需要の弱まりにより」8.2パーセント減少したとあり、マーケティング費用の超過は「秋のキャンペーンへの投資を反映したもので、11月の業績改善につながる見込みです」と説明され、全体の状況は「おおむね計画どおり」とされていました。再計算すると売上の不足額は32で、予算比では8.2ではなく7.6パーセントでした。マーケティング費用は予算を11、率にして18.3パーセント超過していました。表には季節性や秋のキャンペーンについて何も書かれておらず、「11月の業績改善につながる見込みです」は、誰も示していない予測でした。

分析担当者はプロンプトを書き直しました。'この表だけを使って、各差異を実数と割合で示してください。原因や予測は述べないでください。各差異を説明する前に、私が答える必要のある質問を列挙してください。' 新しい下書きでは数値が正しく示され、役立つ質問が挙げられました。マーケティング費用の予算超過は請求書の計上時期のずれによるものか、売上の未達は特定の販路に集中していたか、という質問です。分析担当者は元帳と電子商取引のレポートから答えを確認し、裏付けの取れた原因を自分の言葉で追記しました。

ここから身につけたいのは、作業を二つに分ける習慣です。構成と表現はツールに任せます。計算と原因の説明は、情報源に基づいて自分で行ってください。

表計算ソフトでAIを安全に使うにはどうすればよいですか?

AIが作成した数式は、新しく入った同僚の数式と同じように扱ってください。役には立ちますが、信頼する前に検証が必要です。Microsoftは、ExcelのCopilotについて、ワークシートの編集、数式の生成、グラフやピボットテーブルの作成ができ、編集、計画、チャットの各モードで作業できると説明しています。また、変更内容の決定権は利用者にあるとしています。重要な作業では、編集前に進め方を提案する計画モードから始める方が安全です。

新しい数式は必ず、答えがすでに分かっている数行でテストしてください。空白セル、負の値、月末の日付などの例外的なケースも含めてください。セル参照にすべき箇所に数値が直接入力されていないか、範囲がデータの途中で切れていないか、検索で通知なく最初の一致だけが返されていないかを確認します。汎用AIアシスタントが数式を提案した場合は、運用中のモデルではなく、ブックのコピーに貼り付けてください。

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AIによる財務分析はどのように確認すればよいですか?

元帳を見られないまま、自信のある若手社員が作成したものとして確認します。NISTの生成AIプロファイルでは、作話を、自信を持って述べられているものの誤っている、または虚偽である内容の生成と説明しています。断定的に書かれた財務の文章は、まさにその問題を見落としやすい例です。

再計算

すべての合計、差異、割合を、元データから再計算してください。暗算ではなく、表計算ソフトで行ってください。

単位と期間

千単位か実数か、月次か年初来累計か、どの版の予算と比較しているかを確認してください。

正負の符号のルール

特に費用の項目では、有利差異と不利差異が逆になっていないか確認してください。

原因と変化の違い

数値が変動した理由の説明は、別の情報源で確認できていない限り削除します。

予測を表す言い回し

予測が存在し、承認されている場合を除き、「〜のはず」「〜となる」「〜と予想される」といった表現は削除してください。

履歴

確認担当者が経緯をたどれるよう、元の表、自分でやり直した計算、最終的な文章をまとめて保管してください。

財務向けのChatGPTはありますか?また、財務分析にはどのAIが最も適していますか?

財務向けとして明らかに最適な製品は一つではありません。財務チームは通常、ファイル分析機能を備えた汎用アシスタント、ExcelのCopilotのような表計算ソフト内蔵のAI、財務・計画ソフト内のAI機能という三種類から選びます。適切な選択は、今月のランキングでどのモデルが首位かよりも、データが現在どこにあり、会社が何を承認しているかによって決まります。

どれを使う場合も、アップロードしたファイルの保存方法や、コンテンツがモデルの改善に使われるかどうかについて、プランの利用規約を確認してください。経営報告資料を個人アカウントにアップロードすることと、承認済みの業務用ワークスペース内で分析することは、別の行為です。

AIツールに入力してはいけない財務情報は何ですか?

そのツールへの入力を会社が承認していない情報は入力しないでください。特に、未公表の業績、給与支払い情報や個人別の給与データ、取引や買収に関する業務情報、銀行口座情報、株価に影響する情報は厳格に扱ってください。上場企業の内部情報には規則が適用され、ツールが便利だからといってその規則が変わることはありません。

実用的な習慣は、架空または匿名化したデータで練習し、構成を整えてから、完成した数式やテンプレートを承認済みのシステム内で実際のファイルに適用することです。

財務チームがAIを使うべきではないのは、どのような場合ですか?

報告する数値の出典、事実として提示する予測、監査の証拠としてAIの出力を使用しないでください。会計処理、税務上の取扱い、投資の判断にも使用しないでください。資格を持つ専門家に相談する質問の下書きには役立ちます。多くの場合、それがAIの最も有用な使い方です。

簡単で慣れた計算に使う価値もありません。差異をチャットに入力して答えを確認するより、数式を書いたほうが早く済みます。

財務チームはこのスキルをどう身につければよいですか?

Marlow Outdoorの演習、または同様の演習をチームの練習課題に使ってください。全員が同じ表とAIの下書きを使い、各自が修正した内容を短い一覧にまとめます。修正内容から、誰が再計算し、誰が文章をそのまま信じているかが分かります。

Tosheo.aiは、このような課題、明示された採点基準に沿ったフィードバック、チャット履歴を表示せずスキルの進捗を確認できる管理者画面を備えた財務コースを予定し、構築を進めています。まだ開発前の段階なので、これは予定している提供範囲であり、提供中のサービスではありません。また、レッスンは財務の専門研修や助言ではありません。

出典と対象範囲

NIST、人工知能リスクマネジメントフレームワーク:生成 AI プロファイル(NIST AI 600-1)、July 2024 ↗

Microsoftサポート、ExcelでCopilotを使い始める ↗